2010年4月20日火曜日

バークレーの産学連携


先月、バークレーで産学連携のコーディネートを担当する方にお話を伺う機会がありました。
この方とは、以前のエントリーで紹介したBEARS2010のイベントで名刺交換をし、その際に産学連携について色々質問をしたところ、一度オフィスに話を聞きにおいでよ、ということになった次第です。

詳細なミーティングメモは、ブログの最後に記載しますので、興味のある方はご覧ください(長文です)。

ミーティングの最後に、もし、実際に産学連携を考えている企業があるならば、バークレーの教授とミーティングをセットするよ、という話をされました。

具体的に現在そのような話はありませんが、ぜひ自分こそこの産学連携を進めてみたい!という方がいれば、実際にシリコンバレーを訪れて、熱意を伝えてみるのもありだと思います。

こちらの研究室の先生は、小さな会社の社長みたいなもので、とにかく投資をしてくれる企業を探しているため(実際、資金繰りがよくないとクビになる教授も多いらしく、例えばMITは5年で7割クビになるらしいです。。)、投資考えてるからちょっとプラン見せてよとか、ミーティングセッティングしてよ、とか、投資をまだ実際に考えてなくても、遠慮せず、こっちの要望をどんどん言ってみても構わないそうですので、ぜひ遠慮せず、積極的にアプローチしていただければと思います^^


--------------バークレー産学連携ミーティング 議事録------------------
バークレーの産学連携には様々な形態があるが、大きく以下の4つのタイプに分けられる。
①Industry Sponsored Research Project
②Business Service
③Industry Affiliates Programs
④Gift

それぞれのタイプについて、コラボレーションの形態や具体的な条件などの説明をしていただきました。
概要を下記にまとめます。

①Industry Sponsored Research Project
どのような場合?:企業が研究テーマを持っているがそれを研究したり開発したりする人員がいない場合、研究室とコラボレーションして技術開発を進められる。

コラボレーション形態:こちらから研究員を送って共同開発することも可能。ただし、研究員がそこで開発したものについては、Patent(特許)は大学側に帰属。

技術使用方法:完成した技術の特許権はバークレーが持つが、企業はライセンス料を払って使用可能。大体、その技術を使った売り上げのの3%-5%払わなくてはいけない。また、他の企業に使わせる場合は、バークレーと開発企業の両方がライセンス料を取ることができる。もし、開発した技術を他の企業に使わせたくない場合は、自分の企業しか使えないような契約を結ぶことも可能。ただし、大学へのライセンス料支払いは、どちらにしても行わないといけない。

②Business Service
どのような場合?:バークレーの教授によるコンサルティングサービスや、Ph.Dの学生に単発のリサーチや開発を委託したい場合。

コラボレーション形態:教授によるコンサルティング、Ph.Dの学生による業務委託(プログラミングなど)を企業側から依頼するのみ。

補足:こちらの教授は、研究室の運営資金を自分で集めないといけないため、ほとんどの教授が、自分の時間の25%ぐらいは、外部企業のコンサルティングに使っているとのこと。

話を進めたい場合は?:契約形態や料金は、教授によって違うため、興味がある教授がいれば、直接コンタクトを取る必要あり。 メールのみのやりとりや、年に2回、シリコンバレーを訪問したときにミーティングも持つなどの契約形態も可能。
学生も、パートタイム形態で、リサーチやソフトウェアディベロップメントに入ってもらうことが可能。

③Industry Affiliates Programs
どのような場合?:最新の技術情報をアップデートしたい、他の競合他社がどのような事を考えているか知りたい、ネットワークを作りたい場合

コラボレーション形態:年会費を払うと、その研究室の一般に公開していない研究成果の情報を得られる、年2回の報告会に参加できる、技術を特許化したい場合は、名乗り出ることができる、ライセンス料を払って技術を利用することができる。$1,500,000を払うと研究室の方向性を決めるボードミーティングにまで参加可能だが、それより低い金額を払って、受け身の立場(発言はしないが情報は得られる)で参加も可能。

補足:minimum feeがいくらかは、研究室次第で、最低金額は交渉可能($350,000~$500,000の研究室もある)。まずはどの研究室とコラボしたいか決める必要あり。

④Gift
コラボレーション形態:企業が興味を持った研究に、寄付金を投資するのみ。研究員を送りこむことも不可だし、研究の結果は必ずPublishされるため、他の会社も平等に閲覧できる。

目的:一見企業にとって何の得もないようだが、Computer Scienceでは、この形態が多い。①にあげた特許などが発生するパターンは、開発に10年などの時間がかかりかつ一度製品化すると市場に長く存在できるバイオ(特に医療)の分野で多い形態。Computer Scienceは技術の移り変わりが早いため、特許を取得しても数年で陳腐化するため、あえてお金をかけて特許申請などせず、企業は興味を持った研究にお金を投資してその研究の発展を助け、利用できる段階になったら利用するという、オープンでスピーディな戦いをしている。

補足:foundingをしても、企業側が人を送り込めるなどはなく、あくまでその技術の発展を促したい、いわば市場を握っているような企業がこの形態を取っているようです。GoogleもMicrosoftもOracleも、いわゆるIT系の市場を席巻している主要企業は、これに参加しているとのこと。

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