2011年5月25日水曜日

5月のひとりごと




今月は、シリコンバレーのIT企業がらみのニュースを紹介する、という形態を取ってみましたがいかがでしたでしょうか。

最近は世界のニュースであってもほぼ同日に日本にニュースが入って来るので、日本語でも簡単に情報が集められる時代かと思いますが、日本でも記事になっていなかったり、詳細が省かれていたり、視点が違ったりなど、それなりにお伝えする価値のあるニュースも多いかと思いますので、今後も毎月数本は載せていこうと思います。

あと、英語の勉強をしたい方、ニュースを通して勉強するのが一番おすすめです!
CNNは、映像もついていますので、記事を読んで内容を把握した後、ぜひリスニングにもトライしてください。

さて、今月話題になったその他の記事といえば。

まずはビン・ラディン殺害関連のニュースが最も多かったかと。
殺害後、歓喜して街頭をパレードする人の映像が流れたりして、その様子には少しぞっとしました。
ただ、全てのアメリカ人がそうであるわけでなく、東、特に911があったNYでは殺害を祝福する声も多いかもしれませんが、元々移民が多いカリフォルニアにあっては、殺害を肯定的にとらえる声はあまり聞こえてきませんでした。

ゴシップ的な話題といえば、シュワちゃん離婚ニュース。原因は家政婦さんとの間に隠し子がいたからとか。。。
彼は20年も奥さんに嘘をついていたのかとか、いやいやあれは奥さんは前から知っていて彼のキャリアを考えて今まで公にしなかったのだとか、メイドを雇い続けることで秘密を公にしないでおいたのだとか、まあ、どうでもいい憶測をして楽しむカリフォルニア州民でした。

それではまた来月。

2011年5月24日火曜日

アップルが宗教?!



Apple triggers 'religious' reaction in fans' brains, report says

今日の記事は、なかなかおもしろいと思います。
iPadやiPhoneを展開するアップルが、一部の人にとっては宗教のようなものになってきてる、というニュースです。

最近の神経学の実験にて、アップル製品を崇拝する人に製品のイメージを見せた時に反応する脳の部分が、宗教信者が自身の宗教に対して反応する脳の部分と同じ、という結果が出たそうです。

つまり、アップル製品が、キリスト教などの宗教に変わるものになってきているのではないか、と。

カリフォルニアに住む熱狂的なアップルファンが、アップルストアオープン10周年を祝うために、最初にオープンされたバージニアにあるアップルストアに「巡礼した」というニュースは、「カルト教Mac」と題されて話題になっているんだとか。

確かに、うちの夫もよく、「自分の宗教はサイエンスだから」と言ってますがそれと同じことなのかなあと。
一昨年ヒットしたダン・ブラウンの天使と悪魔でも、宗教と科学の対立が描かれていたので、このテーマは今に始まったことではないのかもしれませんね。

ただ、シリコンバレーにIT企業は多くあれ、この記事で指摘されているような「崇拝者」が一番多いのは、アップルかなあと予想します。
アップル製品の魅力だけでなく、創業者のカリスマ性も影響しているのではないかと。

現在新しく出て来ている企業はサービス系なので、やはり製品を持っているアップル信者は今後も根強く残りそうですね。

新しいサービスといえば、Facebook中毒になって5分に一回はログインしていないと気がすまない「Facebook syndrome」とか、Facebookで友人とつながっていないと気分が落ち込む「Facebook depression」なんて言葉も出て来ています。
これは、若年層では深刻な問題として取り上げられることもあり、両親には、子供のコンピュータ使用時間を制限させるようにとの注意が喚起されることもあるのだとか。

※CNNの記事の元ネタは、BBCみたいですが、BBCの英語難易度>>>>CNNの英語難易度なので、CNNニュースの方を読むことをおすすめします。CNNニュースは、実はTOEICに出て来る英語よりずっと簡単です。

2011年5月22日日曜日

LinkedInの株価上昇について


LinkedIn Surges in First Day of Trading After Share Sale
BusinessWeekから、LinkedInの株価急上昇というニュースです。

LinkeInというFacebookのもっとprofessionalバージョンのようなソーシャルネットワーキングサービス、日本人で使ってる方も多いと思いますが、アメリカでは特にポピュラーです。
カンファレンスなどで名刺交換をしたらまずここでつなげる、従業員を雇う時もここのプロフィールを参照する、このサイトを通してヘッドハンティングの連絡が来る、など。

学歴、職歴、資格、他の人からの推薦文など、かなり色んな個人情報が見れちゃいますが、逆に言えば、ここのプロフィールをしっかりしておくと、強力な自己アピールにもなります。

で、このLinkedInが先日上場しまして、これがすごい株価をつけているというニュースは日本でも耳にしたかと思います。

LinkedInに限らず、現在シリコンバレーエリアでは、再度ITブームがやってきているようです。
といっても、ソーシャルネットワークサービス会社が中心ですが。

この流れは、シリコンバレーのベンチャーキャピタル投資を活性化させるという意見がある一方で、少し過大評価しすぎなのでは、という意見も。
まるで、90年代のYahoo上場を見ているようだとか、数年前の不動産バブルが崩壊したのだって誰も予想しなかったのだから今回もどうなるかわからないとか、ネガティブな意見も当然ありまして。

とりあえず、LinkedInの創業者と初期投資したVCが所有する株式の時価総額はすごいことになっているのは間違いない、と。

ずっと話題になってたLinkeInの上場なので投資家が買いあさっていますが、まだ上場して日が浅いため、最終的にどこで値段が落ち着くかというのが注目ポイント。
今後の株価の動きは、もう少し追っておきたいところです。

2011年5月15日日曜日

Cisco systemsの大幅な首切り

Cisco braces for biggest layoffs in its history
さて、ロイターから、Cisco systemsが、大幅な人員削減目標を発表したという記事です。

削減目標は4000人で、全世界のCIscoの従業員の4%にあたるのだとか。
そして、temporary社員の削減数はまだ未定、つまりさらに増える可能性あり。

CEOの発表として、今は従業員を削減して、新しい分野への投資を控え従来の強みである分野(ネットワーク機器)にフォーカスし会社の再生を目指すそうです。
Ciscoの一番の売り上げであるネットワーク機器は、HPとの競争のせいで、近年では売り上げがどんどん落ちているそうで、従業員をカットすることで、製品のコストダウンができればCisco返り咲きの可能性もあるかもしれない、と。

Ciscoは、会議システムや防犯ビデオなどの新しい製品を開発して発表する予定でしたが、それらは一旦ストップされるみたいです。

シリコンバレーのIT企業では、一時期の景気悪化による大幅な人員削減が落ち着いて、今はむしろ、人の雇用の促進を始めた時期。
Google、HPでも大幅な人員増強中です。
なので、今回のCiscoの発表は、景気悪化を理由にできず、明らかに経営方針の転換を迫られているということ。

2月にUCバークレーで開催されたBEARS2011で会ったCiscoの人が、「CEOに新しいビジネスネタを探してこいって命令されてて」と言ってましたが、今は新しいネタで売り上げを上げるより、本来の強みのネットワーク機器事業を再生させないと、という方針に転換されたようです。




語彙
brace:準備をする
slashing cost:大幅なコストカット
shed:余剰人員をカットする
wield:巧みに使う
ax:首切り、削減
dump:お払い箱にする
decisive:思い切った
amid:〜のまっただ中
steep:険しい

2011年5月13日金曜日

Twitterユーザへ初の裁判所強制命令


先月の写真になりますが、ベイエリアでも桜がきれいに咲きます。

さて、本日の記事は、ロイターからTwitterについての記事です。
Judge issues gag order for Twitter
イギリスで初めて、TwitterやFacebookなどのコミュニケーションツールを使うユーザに対して、裁判所の強制命令が下ったとのこと。

とある芸能人が、自分の脳に損傷を負った自分の子供のサポートをこれ以上したくないとした発言が、TwitterやFacebookで出回っているようで、その発言をこれ以上ツイートしちゃだめよ、という裁判所の命令。

しかしこれ、イギリスの裁判所からの判決であり、アメリカで生まれたサービスであるTwitterやFacebookの規制に対してどこまで効力を持つか。

結局は人々の倫理観に左右されるだろう、という意見が多いようです。

アメリカの裁判所の判決であれば、対象ユーザのアカウント凍結や全発言の削除を命じるなど措置はありそうですが、そうしたら今度は裁判所⇄ソーシャルネットワークサービス、の大激論になりそうですね。


語彙
gag:言論統制
cover up:隠す
indiscretion:無分別な、軽率な言動
injunction:裁判所の命令
anonymously:匿名で
parliament:国会

2011年5月11日水曜日

アメリカの税制システム



こちら、サンマテオ近くのBelmont地区のお庭から。

本日は、Newsweekから、アメリカの税制に関する記事を。
An Empty Offer from the Super-Rich

超高所得者層の税率を上げるか議論があるようでして。

Facebookの創設者マーク・ザッカーバーグやMicrosoftのビルゲイツは「上げてもいいよ」と快諾しており、そう答えた彼らは「クール」に見えるが、実は彼らにとっては痛くもかゆくもない話だから快諾しただけであり、全然かっこよくないよ!とライターが怒ってます。

なぜ、痛くもかゆくもないのか。

ポイントは、アメリカにおいては、キャピタルゲインと株の配当に対する税率は、通常の所得税よりかなり低い、という事実にあります。

キャピタルゲインとは、株などの投資で得た利益のこと。例えば、1株150円の株を買ってそれが年末に500円とかになってたら、差額の350円に対して税金がかかってきます。
配当は、株を所有する会社が利益を上げた時に分配されるお金(現金以外も含む)の事ですね。

で、マークやビルの収入のほとんどはこのキャピタルゲインや配当なんです。
FacebookやMicrosoftの膨大な株式を所有していることを考えれば納得。

だから、たとえ所得税を上げられたって痛くもかゆくもないし、元々キャピタルゲイン税はかなり低い税率なんだから、少しぐらい上げたってたいしたことはないじゃないか、というライターの主張です。


キャピタルゲイン税をどうするかは、アメリカでは長い間議論されていることです。

基本的に、キャピタルゲイン税を低くおさえることで人々の投資活動をうながし、それによって経済も活性化される、というのが多くのエコノミストが考えていることでして。

クリントン政権の時は、投資意欲を高めようと、キャピタルゲイン税の引き下げが行われました。28%→20%
そしてブッシュ政権時の税制改革でさらに5%引き下げ。

これだけ引き下げられてるのだから、もっと上げてもいいという意見と、投資活動の鈍化を引き起こすから上げない方がいいという意見、両方が存在します。


また、別のエコノミストは、株の配当金にはそもそも1%だって税金をかけるべきじゃないと主張。
なぜなら、配当を払う会社はすでに法人税を払っているから。配当を受け取った個人の段階でさらに課税されるのは、税金かけすぎだ、と。
これ、二重課税と呼ばれ、会社と個人事業主の大きい違いなんですね。


スーパーリッチな人のキャピタルゲイン税や配当税も、大幅に引き上げます、と言った時に、スーパーリッチさんがどう反応するか、聞いてみたいですね。

貧しい困ってる人が多いのだから、裕福な人から取れ!っというのはよくある税制理論ですが、あんまりこれをやりすぎると、今度は頑張る人の意欲をそいじゃいますよね。
特に、日本の最近の税制の流れはどうかと。。。
頑張ってる人が頑張らない人を支えなきゃいけないってのは、はてさて。
国の繁栄とは逆の方向にいきそうだな、と個人的には思ってます。

ただ、この話をとあるアメリカ人にしたときに、こう言われました。
貧しいのは必ずしも本人が頑張らないからではない、生まれた場所や環境など本人ではどうしようもできない「randomly happen」の要素が大きい、だから恵まれた環境の人が恵まれない環境の人を支える、というのは一つの正しい社会のシステムだ、と。

そういう考え方もまた正しいと思います。

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原文を読まれる方用に、わかりにくそうな語彙を下記に記載しておきます。
語彙
bazillion:何兆億、無数の
tycoon:(ビジネス界の)大物・実業家
stray:道からそれた
hollow:むなしさ、空虚
bulk:大半
muster:集める
bracket :階層
mogul:権力者、大物
tenure:在職期間
advocate:(意見などを)支持する
assuage:和らげる