2011年5月11日水曜日

アメリカの税制システム



こちら、サンマテオ近くのBelmont地区のお庭から。

本日は、Newsweekから、アメリカの税制に関する記事を。
An Empty Offer from the Super-Rich

超高所得者層の税率を上げるか議論があるようでして。

Facebookの創設者マーク・ザッカーバーグやMicrosoftのビルゲイツは「上げてもいいよ」と快諾しており、そう答えた彼らは「クール」に見えるが、実は彼らにとっては痛くもかゆくもない話だから快諾しただけであり、全然かっこよくないよ!とライターが怒ってます。

なぜ、痛くもかゆくもないのか。

ポイントは、アメリカにおいては、キャピタルゲインと株の配当に対する税率は、通常の所得税よりかなり低い、という事実にあります。

キャピタルゲインとは、株などの投資で得た利益のこと。例えば、1株150円の株を買ってそれが年末に500円とかになってたら、差額の350円に対して税金がかかってきます。
配当は、株を所有する会社が利益を上げた時に分配されるお金(現金以外も含む)の事ですね。

で、マークやビルの収入のほとんどはこのキャピタルゲインや配当なんです。
FacebookやMicrosoftの膨大な株式を所有していることを考えれば納得。

だから、たとえ所得税を上げられたって痛くもかゆくもないし、元々キャピタルゲイン税はかなり低い税率なんだから、少しぐらい上げたってたいしたことはないじゃないか、というライターの主張です。


キャピタルゲイン税をどうするかは、アメリカでは長い間議論されていることです。

基本的に、キャピタルゲイン税を低くおさえることで人々の投資活動をうながし、それによって経済も活性化される、というのが多くのエコノミストが考えていることでして。

クリントン政権の時は、投資意欲を高めようと、キャピタルゲイン税の引き下げが行われました。28%→20%
そしてブッシュ政権時の税制改革でさらに5%引き下げ。

これだけ引き下げられてるのだから、もっと上げてもいいという意見と、投資活動の鈍化を引き起こすから上げない方がいいという意見、両方が存在します。


また、別のエコノミストは、株の配当金にはそもそも1%だって税金をかけるべきじゃないと主張。
なぜなら、配当を払う会社はすでに法人税を払っているから。配当を受け取った個人の段階でさらに課税されるのは、税金かけすぎだ、と。
これ、二重課税と呼ばれ、会社と個人事業主の大きい違いなんですね。


スーパーリッチな人のキャピタルゲイン税や配当税も、大幅に引き上げます、と言った時に、スーパーリッチさんがどう反応するか、聞いてみたいですね。

貧しい困ってる人が多いのだから、裕福な人から取れ!っというのはよくある税制理論ですが、あんまりこれをやりすぎると、今度は頑張る人の意欲をそいじゃいますよね。
特に、日本の最近の税制の流れはどうかと。。。
頑張ってる人が頑張らない人を支えなきゃいけないってのは、はてさて。
国の繁栄とは逆の方向にいきそうだな、と個人的には思ってます。

ただ、この話をとあるアメリカ人にしたときに、こう言われました。
貧しいのは必ずしも本人が頑張らないからではない、生まれた場所や環境など本人ではどうしようもできない「randomly happen」の要素が大きい、だから恵まれた環境の人が恵まれない環境の人を支える、というのは一つの正しい社会のシステムだ、と。

そういう考え方もまた正しいと思います。

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原文を読まれる方用に、わかりにくそうな語彙を下記に記載しておきます。
語彙
bazillion:何兆億、無数の
tycoon:(ビジネス界の)大物・実業家
stray:道からそれた
hollow:むなしさ、空虚
bulk:大半
muster:集める
bracket :階層
mogul:権力者、大物
tenure:在職期間
advocate:(意見などを)支持する
assuage:和らげる

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