2011年5月25日水曜日

5月のひとりごと




今月は、シリコンバレーのIT企業がらみのニュースを紹介する、という形態を取ってみましたがいかがでしたでしょうか。

最近は世界のニュースであってもほぼ同日に日本にニュースが入って来るので、日本語でも簡単に情報が集められる時代かと思いますが、日本でも記事になっていなかったり、詳細が省かれていたり、視点が違ったりなど、それなりにお伝えする価値のあるニュースも多いかと思いますので、今後も毎月数本は載せていこうと思います。

あと、英語の勉強をしたい方、ニュースを通して勉強するのが一番おすすめです!
CNNは、映像もついていますので、記事を読んで内容を把握した後、ぜひリスニングにもトライしてください。

さて、今月話題になったその他の記事といえば。

まずはビン・ラディン殺害関連のニュースが最も多かったかと。
殺害後、歓喜して街頭をパレードする人の映像が流れたりして、その様子には少しぞっとしました。
ただ、全てのアメリカ人がそうであるわけでなく、東、特に911があったNYでは殺害を祝福する声も多いかもしれませんが、元々移民が多いカリフォルニアにあっては、殺害を肯定的にとらえる声はあまり聞こえてきませんでした。

ゴシップ的な話題といえば、シュワちゃん離婚ニュース。原因は家政婦さんとの間に隠し子がいたからとか。。。
彼は20年も奥さんに嘘をついていたのかとか、いやいやあれは奥さんは前から知っていて彼のキャリアを考えて今まで公にしなかったのだとか、メイドを雇い続けることで秘密を公にしないでおいたのだとか、まあ、どうでもいい憶測をして楽しむカリフォルニア州民でした。

それではまた来月。

2011年5月24日火曜日

アップルが宗教?!



Apple triggers 'religious' reaction in fans' brains, report says

今日の記事は、なかなかおもしろいと思います。
iPadやiPhoneを展開するアップルが、一部の人にとっては宗教のようなものになってきてる、というニュースです。

最近の神経学の実験にて、アップル製品を崇拝する人に製品のイメージを見せた時に反応する脳の部分が、宗教信者が自身の宗教に対して反応する脳の部分と同じ、という結果が出たそうです。

つまり、アップル製品が、キリスト教などの宗教に変わるものになってきているのではないか、と。

カリフォルニアに住む熱狂的なアップルファンが、アップルストアオープン10周年を祝うために、最初にオープンされたバージニアにあるアップルストアに「巡礼した」というニュースは、「カルト教Mac」と題されて話題になっているんだとか。

確かに、うちの夫もよく、「自分の宗教はサイエンスだから」と言ってますがそれと同じことなのかなあと。
一昨年ヒットしたダン・ブラウンの天使と悪魔でも、宗教と科学の対立が描かれていたので、このテーマは今に始まったことではないのかもしれませんね。

ただ、シリコンバレーにIT企業は多くあれ、この記事で指摘されているような「崇拝者」が一番多いのは、アップルかなあと予想します。
アップル製品の魅力だけでなく、創業者のカリスマ性も影響しているのではないかと。

現在新しく出て来ている企業はサービス系なので、やはり製品を持っているアップル信者は今後も根強く残りそうですね。

新しいサービスといえば、Facebook中毒になって5分に一回はログインしていないと気がすまない「Facebook syndrome」とか、Facebookで友人とつながっていないと気分が落ち込む「Facebook depression」なんて言葉も出て来ています。
これは、若年層では深刻な問題として取り上げられることもあり、両親には、子供のコンピュータ使用時間を制限させるようにとの注意が喚起されることもあるのだとか。

※CNNの記事の元ネタは、BBCみたいですが、BBCの英語難易度>>>>CNNの英語難易度なので、CNNニュースの方を読むことをおすすめします。CNNニュースは、実はTOEICに出て来る英語よりずっと簡単です。

2011年5月22日日曜日

LinkedInの株価上昇について


LinkedIn Surges in First Day of Trading After Share Sale
BusinessWeekから、LinkedInの株価急上昇というニュースです。

LinkeInというFacebookのもっとprofessionalバージョンのようなソーシャルネットワーキングサービス、日本人で使ってる方も多いと思いますが、アメリカでは特にポピュラーです。
カンファレンスなどで名刺交換をしたらまずここでつなげる、従業員を雇う時もここのプロフィールを参照する、このサイトを通してヘッドハンティングの連絡が来る、など。

学歴、職歴、資格、他の人からの推薦文など、かなり色んな個人情報が見れちゃいますが、逆に言えば、ここのプロフィールをしっかりしておくと、強力な自己アピールにもなります。

で、このLinkedInが先日上場しまして、これがすごい株価をつけているというニュースは日本でも耳にしたかと思います。

LinkedInに限らず、現在シリコンバレーエリアでは、再度ITブームがやってきているようです。
といっても、ソーシャルネットワークサービス会社が中心ですが。

この流れは、シリコンバレーのベンチャーキャピタル投資を活性化させるという意見がある一方で、少し過大評価しすぎなのでは、という意見も。
まるで、90年代のYahoo上場を見ているようだとか、数年前の不動産バブルが崩壊したのだって誰も予想しなかったのだから今回もどうなるかわからないとか、ネガティブな意見も当然ありまして。

とりあえず、LinkedInの創業者と初期投資したVCが所有する株式の時価総額はすごいことになっているのは間違いない、と。

ずっと話題になってたLinkeInの上場なので投資家が買いあさっていますが、まだ上場して日が浅いため、最終的にどこで値段が落ち着くかというのが注目ポイント。
今後の株価の動きは、もう少し追っておきたいところです。

2011年5月15日日曜日

Cisco systemsの大幅な首切り

Cisco braces for biggest layoffs in its history
さて、ロイターから、Cisco systemsが、大幅な人員削減目標を発表したという記事です。

削減目標は4000人で、全世界のCIscoの従業員の4%にあたるのだとか。
そして、temporary社員の削減数はまだ未定、つまりさらに増える可能性あり。

CEOの発表として、今は従業員を削減して、新しい分野への投資を控え従来の強みである分野(ネットワーク機器)にフォーカスし会社の再生を目指すそうです。
Ciscoの一番の売り上げであるネットワーク機器は、HPとの競争のせいで、近年では売り上げがどんどん落ちているそうで、従業員をカットすることで、製品のコストダウンができればCisco返り咲きの可能性もあるかもしれない、と。

Ciscoは、会議システムや防犯ビデオなどの新しい製品を開発して発表する予定でしたが、それらは一旦ストップされるみたいです。

シリコンバレーのIT企業では、一時期の景気悪化による大幅な人員削減が落ち着いて、今はむしろ、人の雇用の促進を始めた時期。
Google、HPでも大幅な人員増強中です。
なので、今回のCiscoの発表は、景気悪化を理由にできず、明らかに経営方針の転換を迫られているということ。

2月にUCバークレーで開催されたBEARS2011で会ったCiscoの人が、「CEOに新しいビジネスネタを探してこいって命令されてて」と言ってましたが、今は新しいネタで売り上げを上げるより、本来の強みのネットワーク機器事業を再生させないと、という方針に転換されたようです。




語彙
brace:準備をする
slashing cost:大幅なコストカット
shed:余剰人員をカットする
wield:巧みに使う
ax:首切り、削減
dump:お払い箱にする
decisive:思い切った
amid:〜のまっただ中
steep:険しい

2011年5月13日金曜日

Twitterユーザへ初の裁判所強制命令


先月の写真になりますが、ベイエリアでも桜がきれいに咲きます。

さて、本日の記事は、ロイターからTwitterについての記事です。
Judge issues gag order for Twitter
イギリスで初めて、TwitterやFacebookなどのコミュニケーションツールを使うユーザに対して、裁判所の強制命令が下ったとのこと。

とある芸能人が、自分の脳に損傷を負った自分の子供のサポートをこれ以上したくないとした発言が、TwitterやFacebookで出回っているようで、その発言をこれ以上ツイートしちゃだめよ、という裁判所の命令。

しかしこれ、イギリスの裁判所からの判決であり、アメリカで生まれたサービスであるTwitterやFacebookの規制に対してどこまで効力を持つか。

結局は人々の倫理観に左右されるだろう、という意見が多いようです。

アメリカの裁判所の判決であれば、対象ユーザのアカウント凍結や全発言の削除を命じるなど措置はありそうですが、そうしたら今度は裁判所⇄ソーシャルネットワークサービス、の大激論になりそうですね。


語彙
gag:言論統制
cover up:隠す
indiscretion:無分別な、軽率な言動
injunction:裁判所の命令
anonymously:匿名で
parliament:国会

2011年5月11日水曜日

アメリカの税制システム



こちら、サンマテオ近くのBelmont地区のお庭から。

本日は、Newsweekから、アメリカの税制に関する記事を。
An Empty Offer from the Super-Rich

超高所得者層の税率を上げるか議論があるようでして。

Facebookの創設者マーク・ザッカーバーグやMicrosoftのビルゲイツは「上げてもいいよ」と快諾しており、そう答えた彼らは「クール」に見えるが、実は彼らにとっては痛くもかゆくもない話だから快諾しただけであり、全然かっこよくないよ!とライターが怒ってます。

なぜ、痛くもかゆくもないのか。

ポイントは、アメリカにおいては、キャピタルゲインと株の配当に対する税率は、通常の所得税よりかなり低い、という事実にあります。

キャピタルゲインとは、株などの投資で得た利益のこと。例えば、1株150円の株を買ってそれが年末に500円とかになってたら、差額の350円に対して税金がかかってきます。
配当は、株を所有する会社が利益を上げた時に分配されるお金(現金以外も含む)の事ですね。

で、マークやビルの収入のほとんどはこのキャピタルゲインや配当なんです。
FacebookやMicrosoftの膨大な株式を所有していることを考えれば納得。

だから、たとえ所得税を上げられたって痛くもかゆくもないし、元々キャピタルゲイン税はかなり低い税率なんだから、少しぐらい上げたってたいしたことはないじゃないか、というライターの主張です。


キャピタルゲイン税をどうするかは、アメリカでは長い間議論されていることです。

基本的に、キャピタルゲイン税を低くおさえることで人々の投資活動をうながし、それによって経済も活性化される、というのが多くのエコノミストが考えていることでして。

クリントン政権の時は、投資意欲を高めようと、キャピタルゲイン税の引き下げが行われました。28%→20%
そしてブッシュ政権時の税制改革でさらに5%引き下げ。

これだけ引き下げられてるのだから、もっと上げてもいいという意見と、投資活動の鈍化を引き起こすから上げない方がいいという意見、両方が存在します。


また、別のエコノミストは、株の配当金にはそもそも1%だって税金をかけるべきじゃないと主張。
なぜなら、配当を払う会社はすでに法人税を払っているから。配当を受け取った個人の段階でさらに課税されるのは、税金かけすぎだ、と。
これ、二重課税と呼ばれ、会社と個人事業主の大きい違いなんですね。


スーパーリッチな人のキャピタルゲイン税や配当税も、大幅に引き上げます、と言った時に、スーパーリッチさんがどう反応するか、聞いてみたいですね。

貧しい困ってる人が多いのだから、裕福な人から取れ!っというのはよくある税制理論ですが、あんまりこれをやりすぎると、今度は頑張る人の意欲をそいじゃいますよね。
特に、日本の最近の税制の流れはどうかと。。。
頑張ってる人が頑張らない人を支えなきゃいけないってのは、はてさて。
国の繁栄とは逆の方向にいきそうだな、と個人的には思ってます。

ただ、この話をとあるアメリカ人にしたときに、こう言われました。
貧しいのは必ずしも本人が頑張らないからではない、生まれた場所や環境など本人ではどうしようもできない「randomly happen」の要素が大きい、だから恵まれた環境の人が恵まれない環境の人を支える、というのは一つの正しい社会のシステムだ、と。

そういう考え方もまた正しいと思います。

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原文を読まれる方用に、わかりにくそうな語彙を下記に記載しておきます。
語彙
bazillion:何兆億、無数の
tycoon:(ビジネス界の)大物・実業家
stray:道からそれた
hollow:むなしさ、空虚
bulk:大半
muster:集める
bracket :階層
mogul:権力者、大物
tenure:在職期間
advocate:(意見などを)支持する
assuage:和らげる

2011年4月26日火曜日

4月のひとりごと


4月3日にオークランドで行われたアスレチックス対マリナーズ戦に行ってきました。

ご存知、アスレチックには松井選手が在籍、マリナーズにはイチロー選手が在籍しており、日本人対決ということで、球場は日本人だらけ。

球団側ももちろんそれを見越して、多くのファンサービスを用意していました。

先着1万人に松井選手の特製Tシャツをプレゼント、日系アメリカ人によるアメリカ国家合唱、日本から応援に来た人達を積極的にスクリーンで紹介、などなど。


他にも、両選手の写真をプリントした限定Tシャツを販売(日本人を中心に完売)したり、日系の小学生の男の子に選手紹介をさせたりなど、ちょっとやりすぎでしょ〜感もありましたが、その戦略にうっかりはまって球場に足を運んでしまった日本人の一人の自分なのでした。

あ、日本へ募金をしたアメリカ人選手を紹介するといったアピールも忘れてませんでした。さすがしたたかなアメリカ。

ではまた来月。

JTPA カンファレンス 2011:大澤 弘治さん


大澤さんはGlobal Catalyst Partners(GCP)というベンチャーキャピタルを設立され、現在はManaging Principalとして投資業務を行っていらっしゃいます。

大澤さんの講演内容として、以下に大きく3つまとめます。

①シリコンバレーは投資のメガトレンドが作られる場所
クリーンテック分野はのびており、Solar Valleyという言葉も出ている。現在は、基礎研究よりも5年ぐらいで結果が出るCapital Efficiencyが高い分野への少額投資が増えている。
また、SNSやモバイル分野への投資も盛んで、ITバブルが再来しそうだ。

②シリコンバレーから見た日本
シリコンバレーから見た日本は、20年前は強かった、特に半導体分野は強かった。今では韓国や台湾の企業の方が台頭している。
例えばTVであれば、アメリカでのシェア1位:Samsung 2位:LG 3位にやっとSONYがくる。PCも、HPとAcerが台頭、日本企業はすでに「その他」という扱いになってしまっている。Busiinessという切り口からみても、Samsungなどの韓国企業の今後の展開には期待が大きいが、日本企業の存在感は薄まっている。

また、シリコンバレーは60%が移民という場所だが、現地で採用されているのはインド人や中国人が多く、日本人の活躍は少ない。

③成功する起業家の条件
恐怖に打ち勝つ、正直、知性、あきらめない、チームプレイができる、明るい、という事をあげられていました。

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②については、こちらに暮らしていて特に感じることです。
TVに関しては、数年前まではSONY製品は一定のブランド価値を築いており、他の製品より高くてもSONYを買うという人は多かったようですが、現在ではSamsungのブランド価値もかなり上がっていますし、またとりあえず安ければ良いという人はLGへ流れます。

こちらで会う外国人のエンジニアは、インド人や中国人が中心。日本人の駐在員の方は多いですが、現地採用されている方の数は比較すると多くはありません。

と、こんな事ばかり書いていると悲しくなってきてしまいますが。。

2011年4月18日月曜日

JTPA カンファレンス 2011:テーブルセッション

JTPAカンファレンス、最後の時間は、シリコンバレーで働いている方、留学している方によるテーブルセッション。

それぞれのテーブルに分かれた参加者を好きに選んで、お話を聞く事ができます。

こちらtwitterで働いている丹羽さん。

学生時代から自分で会社を興したり、自分のプロダクトを持っている丹羽さん。
twitterへの転職のきっかけは、友人の紹介だったそうです。
就職のポイントとして、実際に自分で作ったツールなどを公開しておいて実績を作っておくことを挙げられていました。

アメリカはコネ社会なので、どんなにいい経歴があってもレジュメ一本で就職、というのはかなり難しく、まずは就職したい会社の知り合いを見つけることが重要。そのためには、地道にカンファレンスに参加したり大学のイベントに参加したりなど、自分の足で探していくしかありません。
また、IT系で言えば自分の能力を示せるプロダクトを公開していること、バイオ系で言えば有名雑誌に論文が掲載されていることなど、自分の能力をわかりやすく示せるものが求められます。


もう一人、Googleで働いている半谷さん。

Googleのデータセンタに関して色々教えてもらおうかと思ったのですが、やはりそこはトップシークレット。
全く教えてもらえませんでした^^;
エリックシュミットさんは意外と普通に会社敷地内を歩いていらっしゃったこと、でもあまりにオーラがすごいのですれ違う時にはちょっとよけて通ってしまう、、などといったラフなお話をしてくださいました。


しかし、このJTPAカンファレンス、学生さんの参加がかなり多いことにびっくり。

こちらで働いている方のお話を聞いて刺激を受ける学生さんが沢山いるといいですね。

2011年4月15日金曜日

2012年にジョブズが自身の伝記を出版予定

http://abcnews.go.com/Entertainment/wireStory?id=13343409

詳細はまだわかってないみたいですが、Appleのジョブズが自身の伝記の執筆を作家に依頼しているそうです。

題名は「iSteve: The Book of Jobs」。

本当かいなって感じの名前ですよね(笑)

2011年4月13日水曜日

JTPA カンファレンス 2011:シリコンバレーはもはや死語?


さて、JTPAカンファレンスでは、SFにオフィスを構えるIT会社で働く方が多く参加していました。

実は、今熱いのは、シリコンバレーと呼ばれるサウスベイではなく、サンフランシスコなのです。

事実、多くの日系IT企業がサンフランシスコにオフィスを構えています。
DeNA、グリー、サイバーエージェント等々。

カンファレンス次の日のホームパーティーでも、実際にSFで働いていたり起業されたりしている方々はみなさん、「今はサウスベイよりSF。機能が集約している。」とおっしゃっていました。


ポイントは以下にあるようです。
①移動しやすい(BARTやBusなどの公共交通充実)
②生活しやすい(デパート、スーパー、レストランが密集)
③コネクションが作りやすい(SF開催のカンファレンス多数)
④弁護士事務所、会計事務所等のビジネス機能が集中


一世を風靡したシリコンバレーと呼ばれるサウスベイ地区ですが、移動が不便だな〜とは常々思っていました。
基本的には車がないと移動はほぼ不可能。CalTrainやBARTも出ていますが、駅の近くが栄えているわけではなく、そこから他の交通機関を利用しないとオフィスへ行くことは難しいです。
おいしいレストランやショッピングモールもありますが、それぞれ離れたところに点在しており、これまた車で移動しないといけません。SFのように、駅を降りてすぐ、ちょっと歩いてたら素敵なレストランやお店がといった生活スタイルではありません。

③のカンファレンスについては、もちろん今でも、サウスベイの大学やイベント会場を借りて多くのカンファレンスが行われていますが、IT業界ではおそらく一番人気が高いであろう、Google I/OとOracle World(Java One)は、サンフランシスコの会場での開催になっています。

④の事務所については、私も日系の会計事務所などはサウスベイに集中していると思い込んでいましたが、実は今ではSFに日系会計事務所が集中してきています。


投資をしてくれるVCは今でもサウスベイに多く事務所を構えていますが、ベンチャー企業自体の都合で言えば、シリコンバレーとよばれたサウスベイに会社を構えるメリットを感じる企業は少なくなっているようです。


前の記事でも書きましたが、そもそもこちらでシリコンバレーという言葉はアメリカ人にはほとんど通じません。
それよりも、「ベイエリア」という言葉をもって、技術系ベンチャー起業や研究が盛んな、バークレー〜南のサンノゼぐらいまでをさします。


ちなみに、ITと並んで盛んなバイオの世界では、SF周辺のベイエリア一帯を差して「Biotech Bay」なんて呼んでいる場合もあるそうです。
http://www.dclifesciencejobs.com/hotbed.aspx?regionid=11


こんな記事を書いていると、、、、、このブログのタイトルもそろそろ、「ベイエリアからのお便り」に変えようかなとか思ってきてしまいます。。。

2011年4月1日金曜日

JTPA カンファレンス 2011:バイオベンチャー起業


JTPAカンファレンスから、金島 秀人さんをご紹介します。

お医者さん→Stanford大学の客員研究員→バイオベンチャー創立メンバー→IPO→セミリタイヤ→現在は企業コンサルタント、という経歴の持ち主。


シリコンバレーでバイオに携わる日本人の間ではかなり有名なお方です。


ご存知の方も多いかと思いますが、バイオベンチャーはプロダクトができるまでかなりの時間がかかります。ですので、必ずしもプロダクトができていることがIPOの条件ではなく、研究段階でIPOする企業は珍しくありません。

金島さんが創立メンバーとして参加されたバイオベンチャー、システミックス社が創設された頃は、シリコンバレーではバイオのバブル全盛期。
次から次へとバイオベンチャーが起こされ、可能性を認められた企業はプロダクトなしで次々に上場、その後プロダクトができないままクローズしたり他社に吸収されていった企業が多数いた時代です。

システミックス社もそのような会社の一つでして、実質プロダクトはできなかった、とおっしゃっていました。
それでも、バブル時期にIPOした創立メンバーのストックオプションはすごい価値があったらしく。。
その後、あっさりとセミリタイアされたそうです。

現在はバイオコンサルタントをされているということで、てっきりバイオや医療関係の企業をお客様としているのかと思いきや、IT企業をお客様にしていることが多いそうでして。

IT企業が、バイオや医療の世界にどのように貢献できるか、どのようなプロダクトを今後出していけばいいかといった内容についてアドバイスをされているとのこと。

講演の次の日のホームパーティーには、ITからバイオからビジネス専門の方まで様々なバックグラウンドの方が来ていましたが、全ての方と幅広いディスカッションができる知識の広さに、脱帽しました。

2011年3月24日木曜日

3月のひとりごと


東日本大震災発生から2週間経ちました。

いまだに安否を確認できない方が多くいる事に、大変心が痛みます。
離れた地から思うように協力できないことがもどかしくありますが、アメリカに住む日本人としてできることをしていきたいと思っています。


アメリカで目立つ報道といえば、地震発生当初から、原発に関するニュース。


UCバークレーの放射能センサーが、微量の放射線を感知したという報道がありました。
私自身は、それに関して大騒ぎするアメリカ人に少し違和感を覚えています。


アメリカは歴史上唯一原子力爆弾を戦争に用いた国ですし、日本は唯一原子力爆弾を落とされた国です。
そのときの惨状、未だに残る心の傷、そういったものに関しては無関心でいながら、ものすごく繊細なセンサーが一日だけ反応した事で大騒ぎするというのは、やはり日本は、遠く離れた小さな島国の一つとしてしかとらえられていないということなのでしょうか。


また、今回の地震に対してのアメリカからの義援金の総額は、ハイチやチリの地震に対する額と比べると随分少ないみたいです。
理由は、日本人は裕福だから、自分たちで復興するだろう、とのこと。


個人レベルでみると、多くの友達が心配のメールをくれたり、お店や病院でも日本人とわかると励ましの言葉をもらったりして感謝する毎日であるので、報道に惑わされてはいけないとも思うのですが、複雑な心境になる毎日です。

それではまた来月。

BEARS 2011:モバイルの未来



BEARSカンファレンスのパネルディスカッションでは、モバイルの未来について、というテーマでディスカッションが行われました。

Overviewでも書きましたが、全体を通して概念的なお話に終始しましたが、いくつか大事なキーワードがありましたので、書いておこうと思います。

①モバイルにおける勝利のポイントは、若者世代をつかむこと
新しいものに飛びつくのは若者、若者世代に浸透した製品は強い。若者にしかわからない感覚がある。

実は、シリコンバレーで成功したIT企業の創業メンバーの中には、必ずと言っていいほど、創業時点で20代の若者が入っています。
Facebook、Google、Yahoo、Apple。。

これは、若者のトレンドは若者が一番良くわかっているということの表れです。

また、インターネットニュースの浸透、モバイルやタブレットの浸透によって、今後、紙媒体の新聞や本は消滅するか?という問いに対しては、「紙媒体に親しんできた世代がいる限りなくならない。逆に言えば、生まれた時から紙媒体よりもインターネットに親しんだ世代ばかりになれば消滅する可能性がある」と言われていて、若い世代に何を使わせていくかが大きなキーワードになっています。

②「必要性」を作りだす
今話題になっているモバイルやソーシャルネットワークサービスというのは、一見、生活に必須のものではないが、若いうちから使い続けると、いつの間にか、なくてはならない必需品になってしまう。
①の「若者」キーワードとかぶりますが、若い人間に飛びつかせて、生活の一部としてサービスを浸透させてしまう事が大事である。

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個人的には、これ以外にも「アプリ開発のオープンさ」という開発者視点を入れるべきだなあと思いましたが、GoogleもAppleもいないディスカッションでしたので、この点については触れられず。

iPhoneの爆発的な普及の背景には、iPhoneアプリの開発をオープンにしたことが挙げられるでしょう。
自分が学生の頃、一世を風靡したDocomoのiModeはいずこへ。。日本の携帯は早い段階で高機能アプリを実現していましたし、お財布ケータイなどいまだに特殊な機能を備えているにも関わらず、世界市場から置いてかれてしまった大きな原因の一つは、アプリ開発をオープンにしなかったことが原因と言えると思います。

また、近年Androidが伸びている大きな理由としては、iPhoneアプリよりも、「早く」「簡単」にアプリリリースできるという開発者側の理由があってこそ。

5月にGoogle主催のカンファレンスがありますので、そこではどんなお話がされるのか期待です。
残念ながらチケットは、発売数時間で完売!参加はできませんが、後日アップされる資料から拾おうと思います。
http://faius.blogspot.com/2010/10/save-date-for-google-io-2011.html
昨年はサプライズでAndroid無償配布があったそうですが、今年はどうなることやら。

2011年3月22日火曜日

iPad2


発売と同時に各店舗で売り切れ、現在ではインターネット注文は一ヶ月待ち、たまに店舗に入荷される時は前日の夜から行列ができるらしいです。

Apple storeだけでなく、Best Buyでも買えますが、いまのところ、全種類品切れのよう。インターネット注文もお店受け取りも在庫なしのようで。
http://www.bestbuy.com/site/iPad-Tablets/iPad/pcmcat209000050007.c?id=pcmcat209000050007#storeInventoryLink

3G対応じゃないiPad2ならTargetで買えるらしいですが、持ち運びできるのがうれしいタブレットなのに3Gなしって、ちょっと微妙ですね。でも、SF周辺は、wifi対応カフェが多いので、それなりに使い道もあるのかもしれませんが。


あと、オークションサイトのeBayではいくらか出回っているようです。
http://shop.ebay.com/items/ipad%202?_dmd=1&_sop=12&rvr_id=220359008372&MT_ID=69&crlp=6701486204_1&tt_encode=raw&geo_id=6312&keyword=ipad+2&adgroup_id=2080474124
が、これって本物でしょうかね。。。
$600ぐらいで売られてるのはあやしいし、$1200ぐらいのは本物かもしれませんが、そこまでして買うかと言われると?

ちなみに、店舗入荷時に前日から並んでいた人の8割が、中年の中国系女性だったという目撃情報もありますので、転売を目的にした買い占めなども横行してるのかもしれません。

Apple側が希少性を高めるために、販売数をおさえたり、ニュースにしたりしてるという背景ももちろんありますが。

2011年3月21日月曜日

BEARS 2011: E3S



BEARSカンファレンスで訪れた研究室の一つ、Center for Energy Efficient Electronics Scienceの紹介です。

https://www.e3s-center.org/

コンピュータサイエンス×環境問題は、近年ますますホットになっているテーマ。
クラウドコンピューティングにおける最大の関心事の一つは、環境に優しいデータセンタを建設・運営していくことにあると言っても過言ではありません。

データセンタの問題については、コンピュータサイエンスだけでなく、電子工学、建設工学等、様々な分野からのアプローチが必要となるので、UCバークレー単体の研究室としてではなく、様々な研究室や外部機関とのコラボレーションが特に活発なようです。

E3Sでも、スタンフォードやMITなどと共同研究を行っています。

当日の発表ではデータセンタそのものについての学生の発表はありませんでしたが、データセンタ関連のコネクションを探すなら、ここをあたってみるといいかも?

2011年3月20日日曜日

JTPA カンファレンス 2011:Overview

東日本大震災が起こってから毎日、NHKとTBSのUstream中継に釘付けでした。
これ以上被害が拡大しないことを願うばかりです。

各国の知り合いから心配や激励のメールをもらう度に、日本が多くの方に支えられていることを嬉しく思います。
こちらにいながら、自分にできることをしていこうと思う毎日です。

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先週末、サンノゼ州立大学で開催された「JTPAシリコンバレーカンファレンス」に行ってきました。
http://www.jtpa.org/event/svtour/000551.html

JTPAは、シリコンバレーで働く日本人、またこれからシリコンバレーで働く事を目指す日本人を支援する団体です。
出席者の半数ぐらいの方が、このカンファレンスのためにわざわざシリコンバレーを訪れており、気合いの入った方達が多く参加していました。
※東日本大震災の数日後ということで、飛行機が飛ばず参加できなくなった方もいらっしゃいましたが会場はほぼ満員でした。


午前中は、シリコンバレーで成功者と呼ばれる方による講演会です。

名古屋大学医学部で助手を務めた後、Stanford大学の客員研究員に転職、研究室で開発した技術をもとに教授がシステミックス社を設立する際に創設者グループのひとりとして参加し、システミックス社は後に売却。それを契機にセミリタイアし、現在はバイオメディカル・コンサルタントとして各方面で活躍中の金島 秀人さん。


三菱商事の情報産業グループでアジア各地のbusiness developmentを行われた後、米国パロアルト支店に異動し、投資を通じてベンチャー企業とアジアの大企業とを結ぶ業務を行い、年間数百億円のビジネス創出に貢献、三菱商事を退職後、シリコンバレーの著名起業家であるKamran Elahianらと4人でベンチャーキャピタル、Global Catalyst Partners(GCP)を設立し、現在Managing Principalとして投資業務を行っている大澤 弘治さん。


午後は、GoogleやAppleやtwitter等で働いている方のパネルディスカッション、ネットワーキングを目的としたテーブルごとの座談会など盛りだくさんで、あっという間の一日でした。


最近の若者は元気がないとか安定志向が強いなどと言われますが、これからアメリカの大学院留学→現地で就職、を夢見る多くの学生にも会えましたし、日本から離れたシリコンバレーの地で日本人として誇りを持って働いていらっしゃる沢山の方にお会いすることができ、多いに刺激を受けました。


今回のJTPAのイベント、基本はカンファレンス当日の参加のみですが、開催日が近くなるとFacebookのページが立ち上げられ、そのページを通して、様々な「おまけ」イベントへの参加が可能になります。

カンファレンス数日前には、希望者向けに、Oracle・Google・Apple・Twitter・Facebook・Nvidiaなどの現地IT企業、スタートアップ会社が集まるインキュベーター施設やVC、CyberAgentAmerica・DeNA・GREEなどシリコンバレーに進出している日本のネット企業、への見学ツアーが組まれ、カンファレンス参加者は自由に参加することができます(個別にグループを組んでの訪問なので定員は限られているので、常にFacebookページをチェックする必要あり)

カンファレンス次の日には、講演いただいた金島先生の自宅訪問(スタンフォードにある豪邸)ができたり、シリコンバレーの著名ブロガーである渡辺千賀さんとカフェでお話する時間があったりなどなど。


Facebookの便利さを痛感。


カンファレンス詳細については、BEARSの更新もまだ残っているため、4月に回させていただきます。

2011年3月8日火曜日

BEARS 2011: 産学連携と学生採用


さて、BEARSで会った他企業の方から聞いた、産学連携と学生採用の関係について書きます。

以前のエントリーで産学連携のしくみについて書きましたが、バークレーの産学連携にはいくつかのタイプがあります。

コンピュータサイエンスの研究室で最も多いタイプは「Gift」。

これは、donation(寄付)にあたり、企業と共同研究するわけでもなく、開発した技術を企業にライセンシングするわけでもなく、ただ単に企業が研究室の研究に援助金を出すしくみです。
最初このしくみを聞いた時に、「企業側のメリット」がよくわからず、なぜこれが一番多いタイプか疑問でした。


で、カンファレンスで会った、実際にdonationをしている企業の方に聞いてみました。
donationの目的って何ですか?と。

すると実は、「採用費」と考えている企業が多いようです。

donationをすることで、企業名を学生に知ってもらえ、興味を持ってもらえる可能性が高まる。
donationをすることで、研究室とのつながりが強化でき、学生に優先的にリクルーティングできる(採用情報を直接研究室内メールに流してもらえたりなど)。


コンピュータサイエンスの世界は、新しい技術がすごいスピードで次々と出て来るため、のんびりと共同研究やライセンス契約の検討をしている時間はありません。
※バイオや医療などの世界では、開発に時間がかかるのと、一度開発されると市場に長くとどまるため、こういった共同開発やライセンスも意味を持つみたいです。

それに、現在話題のCloud Computingは、研究の世界が主導ではなく、完全に企業主導。
消費者のニーズをすくいあげて、時には作り出して、スピード命で市場に出していくことが求められます。

となると、企業にとって一番欲しいのは、研究内容ではなく、「優秀な人材」。

バークレーのコンピュータサイエンスの研究室とのコネクションを強化し、企業をアピールして、優秀な学生に来てもらうことが、企業にとって最もメリットがある、と考えているようです。

donationは、比較的少額からできますので、採用関連で興味があればぜひ。。

2011年2月27日日曜日

2月のひとりごと


1月中旬ぐらいからすでに春の陽気のベイエリア。日中の日差しは強く、サングラスなしでは運転できません。
東海岸に住む友達から、「雪、、というか吹雪で、家から出られない、、」なんて聞いて初めて、「あ、、まだ季節的には冬という区切りだったんだ」と思い出す始末。

と、春に向けてすっかり安心していましたが、急に先週ぐらいから冷え込みだし、今週末はサンフランシスコに35年ぶりに雪が降るかも、なんて話がありました。

アパートのポットラックパーティではいつもより人が沢山集まるなど、みなさん、雪を敬遠して家に引きこもっているんだな〜という印象でしたが、結局雪は降らず。
http://www.sfgate.com/cgi-bin/article.cgi?f=/c/a/2011/02/26/BAQA1HVCAQ.DTL
坂の多いサンフランシスコでの車の運転はかなり気を使いますが、それに雪が降ったらなんて想像すると、、かなり怖いので、降らないで良かったです。

ちなみに、少し北のシアトルですが、こちらも雪が降る事はほとんどなく雪慣れしていないため、去年の11月の大雪では坂道で止まらなくなる車が続出。
http://www.youtube.com/watch?v=rhZCyQ3emQg
シアトルに行ったことがある方ならおそらく知っているであろう、キャピタルヒルの坂です。

ブログの本筋とほとんど関係ないお話でした^^;

それではまた来月。

BEARS 2011: SPRING@BID


さて、先日Overviewを紹介したBEARS Conferenceから。

Berkeley Institute of Design / BIDは、ITを利用した様々な新しいサービスを提案している研究室です。
発展途上国での医療レベルを引き上げるために教育ビデオを作成しモバイルを通して配布してみたり、ストレス緩和に効果のあるテキストメッセージが送られて来るアプリケーションを開発したり、など。
その中で、移民が多いカリフォルニアならでは、おもしろいな〜と思ったのが、ゲームを通して発音を向上させよう、というプログラムでして、「SPRING:Speech and Pronunciation Improvement via Games」と名付けられたプロジェクトです。

◆学生さんのページ
http://www.cs.berkeley.edu/~anuj/Site/Home.html

◆研究の詳細が書かれたページ
http://www.cs.berkeley.edu/~anuj/Site/SPRING.html

昔から親しまれているシューティングゲームや音楽ゲームなどを改造して、画面に表示される単語を正しく発音できたら、ゲームのコントローラを正しく押した状態にすることができる、つまり正しく発音できないとゲームの先に進めないようにしています。

すでにベイエリアのいくつかの小学校で実験を行っており、カリフォルニア州の1/3を占めるヒスパニック系の移民を対象に、こういったゲームが発音向上の役に立つかどうか検証しているようです。
音声認識は、これからよりホットになる技術の一つ。その技術を使った新しいサービスも、色々と出てきそうです。

2011年2月23日水曜日

Android搭載タブレット


Android搭載のタブレットが明日発売になります。
BEST BUYで買えます↓
http://www.bestbuy.com/site/Computers-Promotions/Motorola%2BXOOM/pcmcat233400050016.c?id=pcmcat233400050016#

Verizonとの2年契約で599.99ドルだそうです。

BEST BUYに行く機会があれば、ちょっといじってこようかな。。

2011年2月17日木曜日

BEARS 2011: Overview


本日、BEARS 2011 Conferenceに行ってまいりました。
http://www.eecs.berkeley.edu/IPRO/BEARS/

詳細は後日アップしていきますが、まずは当日の大まかな雰囲気をお伝えします。


当日は、朝からあいにくの大雨。
今年一番最悪な天気でないかと思える日でして、多くの方が遅れてカンファレンス会場にやってきました。

例年以上に参加者が多いということで、I-Houseという会場のホールにて前半のカンファレンスは開催、それでも多くの立ち見が出るなど、大盛況。



まずは、バークレーの教授による研究室の取り組みの発表(企業への宣伝)です。
一番おもしろかったのは、検索のアルゴリズムに関する研究。「Where is a capital city in California?」という質問をGoogle で検索するとすぐに答えが得られるのに対し、「How many states are there in the U.S?」という質問に対しては検索で結果が得られないことがある、その理由は何か?、、、、という疑問をきっかけに、検索のアルゴリズムについて紹介していました。

さて、次は、お待ちかねのパネルディスカッション。

楽しみにしていたのですが、、、正直、とても期待ハズレでした。。
「モバイルの未来について」というタイトルで、VerizonやSamsungの方をパネリストに招いたディスカッション、さぞ白熱した議論が交わされるのかと思いきや、、
具体的な技術や製品についての議論はほとんどなく、理屈っぽいお話に終始。
人のモバイル端末利用を車の利用と比較して話してみたり、2050年にはこんな世界になっているなど空想上のお話だったり。
現在モバイル市場を牽引しているGoogleやAppleが参加していない時点で、そもそも面白い議論を期待してはいけないのかもしれませんが。


お次はランチライム。
カンファレンス参加者は、好きな研究室を選び、参加者達とネットワーキングをしながら昼食を食べることができます。

今回選んだのは「International Computer Science Institute」という研究室で、IT技術を使って世界をつなげていきましょう、という研究室です。要はネットワーキング技術を主に研究している研究室です。

ランチでは、同じ机に座ったカンファレンス参加者達と名刺交換。
Appleから来た女性に、「スティーブジョブズは今どうしてるの?」と聞くと、「あら、彼、会社で見かけるわよ」とのこと。
てっきり、体調不良で病院にでも入っていると思ってましたが。。ただ、ジョブズがいなくなるとAppleの株価が暴落すると言われているので、女性が本当の事を言っているかは不明ですが。
Ciscoから来た男性は、「こういうカンファレンスに参加して、うちの製品をクラウドのサービスにどう使えるか、経営陣にアドバイスするチームが最近できてね〜」とのこと。クラウド時代の製品開発は、サービスあってこそ、ということですね。

さて、ランチタイムを終え、ここからは自由に各研究室を回っていきます。


ITが社会にどのような影響を与えているかを研究しているBerkeley Center for New Media

建築、社会学など様々なバックグラウンドの人が集まり、社会の役に立つ新しいITサービスを提案しているBerkeley Institute of Design

環境に優しいハードの研究をしているCenter for Energy Efficient Electronics Science

などなどバラエティ豊かな研究室が多く、とても時間内には全て回りきれないほど。

学生達も熱心にプレゼンテーションをしてくれます。

帰りに外に出てはじめて、「あ、、、そういえば今日大雨だったんだ」と気づくほど、カンファレンス会場も研究室も熱気に溢れていました。

2011年2月10日木曜日

オープンソースコミュニティの運営について:JTPA講演会



1月14日、「オープンソースコミュニティの運営について」というタイトルでJTPA主催の講演会が行われました。

講演者の川口 耕介さんは米国Sun Microsystemsで様々なオープンソースプロジェクトに関わった後、2010年にオープンソースプロジェクトHudsonを業務にするInfraDNAを起業し、同年CloudBeesに買収されたという経歴をお持ちの方です。
※オラクルの方針と合わずSunを離れ、自分でオープンソースの会社を作ったんですけどね、というご説明もありました^^;

今回の講演では、世界中の多くの開発者を参加させるオープンソースプロジェクトを作るためのポイントについて、失敗したプロジェクト(GlassFish/JAXB)と成功しているプロジェクト(Hudson)を対比しながらご説明してくれました。

GlassFish/JAXBはSun時代に立ち上げたオープンソースプロジェクトだそうですが、結果的にオラクルの開発者(合併後なので、つまり内部の社員)しか参加しないという、全くオープンでないプロジェクトになってしまったそうです。
もちろんオラクルの開発者は優秀であるのですが、仕事ありきになってしまうため、イノベーションが発揮されないのが問題だと。
様々なバックグラウンドやアイデアを持った開発者を広く集めたいというオープンソースの本来の目的が達成されなかったとのことです。

そこで、今回成功したHudsonで、工夫したポイントとして、以下を挙げられていました。

①ダウンロード
最新版のダウンロードを簡単にすることが大事
良い例(iTunes):マックでアクセスしたらマックのソフトしかでないなど
ダメな例(Glassfish):ダウンロード箇所が複数あって、どこをクリックしたらダウンロードがはじまるかわからない。次の画面に移っても自動的にダウンロードが始まらず、さらにクリックしないといけない。。

②インストール
ダウンロード後のインストールはできるだけ簡易に。
→ダウンロードした後、説明書をみないと、インストールできない場合、ユーザが諦めてしまう場合も。

③ユーザサポート
ソフトウェア自身にフロントラインをサポートをさせること
→適切なエラー情報、ユーザが取るべきアクションを明示する
→エラーがでて調べても、2時間たっても解決できないと、こんなのやってられるか、となってしまう
→ユーザから開発者になってほしいので、エラー時にソースコードを見せるのも一案。何が起こっているか見せて興味を持ってもらう

④再利用性
ライブラリ群に分解すること。良くデザインされていないとだめで、コードだけでなくドキュメントも重要。
→全体は興味ないけど部品だけに興味があるという開発者をすくい上げる

⑤プラグイン
個々の機能をプラグインとして実装する
→共同作業より分業。同じ領域を共同開発するよりも隣接領域を手分けして開発できるようにする
→周りが何をしているか気にしないで没頭できるようにする
→地理的、タイムゾーンもばらばらなのでコミュニケーションに時間がかかる、人間同士も会ったこそなかったりする
..............forと(の間に()はあるべきかどうかだけでもめてかちんときてしまったり
→利点:他人のコードをみなくてよい、奇抜なアイデアを拒否しなくてよいためイノベーションが生まれやすい

⑥たまり場
開発者同士が交流できるたまり場が必要
→人が変わってもプロジェクトの継続性が保たれる、新しい開発者を養成できる

⑦言語
他の言語でプラグインを書けるようにする
→ユーザがUIから直接翻訳をsubmitできる仕組みがあれば最高

⑧リリースプロセス
リリース頻度をあげる
→バグ修正をユーザに早く届ける、プラグイン開発に必要な修正を早く届ける
→初期には特に有用

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オープンソースプロジェクトにおいて重要な基本は、開発者の参加を容易にすることですと強調されていました。
※誰もがコミッタになれるWikipediaなど

2011年1月24日月曜日

1月のひとりごと


New Yearの瞬間、サンフランシスコのベイブリッジ付近から盛大に花火が上がります。
日本の花火職人さんも関わっているようで、アメリカらしからぬ繊細な綺麗な花火でした。

さて、2011年の1月もそろそろ終わり。
一年の12分の1があっという間に終わってしまうかと思うと、一年もあっという間に過ぎそうですね。

年始にアメリカから聞こえてきたニュースとして、おそらく失業率の大幅改善のニュースがあるのではないでしょうか。
アメリカの経済は回復に向かっている、なんてアメリカとしては言いたいようですが、NYダウやNASDAQの平均株価は全く回復の兆しが見られません。

実は、この失業改善の数字、からくりがありまして。

失業者=職を探しているけど職がない人、をこの統計では指します。つまり、職がないけど職を探してない人は失業者にあたりません。
今回の統計では、職を探すことを諦めた人が急増したことで、統計的に失業者が減ったように見えているだけです。

つまり、状況としては改善しているどころか、悪化しているということです(あまりに仕事が見つからず諦めた人達が急増、という意味で)。


こういったトリックのある統計を、意図的に全世界に発信するところがアメリカらしいなあと。


こういった手法、アメリカはよく使ってきます。


他の例として、アメリカは選挙の得票率が高くて国民の政治への感心が高い、なんて思われがちですが、これもウソウソ。
アメリカでは、国籍を持っていれば誰でも投票者になれるわけではなく、「選挙人登録」をしないと投票者になれません。
つまり、もともと政治に全く感心のない人は、わざわざ選挙人登録なんてしないのです。
アメリカが算出している得票率の母数は、当然「選挙人登録をした人」ですから、そもそも選挙人登録をしてない人達は統計に入っていません。
そりゃ、、、わざわざ選挙人登録をする母集団ですから、投票にも行きますよね。。というからくりです。


アメリカから入って来るこういった統計数字のニュースは鵜呑みにしないで、その裏をよく読んでみることが大事です。


ではまた来月。

2011年1月20日木曜日

youku

youkuという中国の動画共有サイト、ご存知ですか?

http://www.youku.com/

サイトに行っていただければわかると思いますが、、、youtubeのパク◯じゃ。。。と思わされるサイトです。
中をみてみると、日本のドラマやアニメ、バラエティなどが、中国語の字幕をつけてアップされています。
youtubeと違って、動画の再生時間に制限がないため、ドラマ、丸々一回分がきれ〜いにアップされています。それも、放送日の翌日にはアップされているという几帳面さ。
ちょっとちょっと〜違法サイトじゃない〜と思わされますが。。

驚いたことに、これが去年の12月にニューヨーク証券取引所に約3000億円で上場。なんと、youtubeの上場当時の時価総額を上回っています。

youtubeと同じくyoukuも、主な収入は広告収入。日本の財産が大量に使われて、ものすごいお金が動いてますよ。。と、なんだか首をかしげたくなる状況です。

ニューヨーク証券取引所に上場するにあたって、さすがにアメリカのドラマやニュースなどのコンテンツは一斉に削除した模様。
あと、なぜだか、日本のNHKの番組も削除したようです。
でも、民放の番組は、今でも見放題。
ゲゲゲの女房は見られないけど、ぐるナイは見られます。

偉そうな事を書きましたが、海外にいる日本人にとって、このサイトはかなり重宝するんですよね。。
だって、日本のドラマやバラエティやアニメが、ただで見られるんですもの。 
良くないと思いつつ、見たいものは見たい。

結局、倫理観うんぬんより、多くの人のニーズをとらえていること、他よりも早いスピードでサービスを浸透させられる企業が勝つ時代ということなのでしょうか。

2011年1月17日月曜日

BEARS 2011


来月ついに開催されます、BEARS2011。
UCバークレーのElectrical Engineering and Computer Scienceのdepartmentによって開催される、一年のうちで一番大規模なカンファレンスの1つです。今年も楽しんで参加してこようと思います。
※昨年参加した様子は、2010年2月のエントリーをご覧ください→http://faius.blogspot.com/2010_02_01_archive.html

昨年のテーマは、「From Cloud to Sensors」。半導体からサービスに関してまで、幅広くカバーしていました。
クラウドに関する発表もありましたが、それも全体の一部。

それが、今年のテーマは、「Bringing intelligence to tomorrow's client/cloud platform」。
クラウドに関連した技術、プラットフォーム、製品、サービス、、などなど、クラウドを中心にすえて、カンファレンスが進められそうです。楽しみですね。

パネルディスカッションも見所の一つ。
昨年は、環境問題に対して、Computer Scienceが考えるべき課題について、議論が行われました。
今年は「Who Owns the Future of the Mobile Client?」
モバイルに関する話しも沢山聞けそうですね。

午後は、好きな研究室を回って学生の発表を聞いたり質疑応答できる時間になりますので、特にこの研究室を見て来てほしい!こんな質問をしてきてほしい!など、ありましたがご要望ください。

↓当日のアジェンダは以下。
http://www.eecs.berkeley.edu/BEARS/

2011年1月12日水曜日

GooglePC


Google Chrome OSを搭載したPCの発売が発表されましたが、パソコン自体の情報はまだあまり日本の記事には出ていないようですので、本日はMITのテクノロジーレビューから2つ、Google PCに関する記事をご紹介します。

一つ目の記事は、「ブラウザが全て!」というタイトルで、クラウドを採用するGooglePCの特性について書かれています。
http://www.technologyreview.com/web/26882/?p1=MstVwd&a=f
簡単に、書かれている内容をまとめると以下のような感じです。

・現在、大勢の人間で、GooglePCのプロトタイプ(Cr-48, a notebook)をテスト中
・クラウドに対応するため3Gを搭載する予定(携帯やタブレット感覚?)。Verizonの3Gサービスを2年間無料でつけるかも。
・GooglePC用のアプリケーションマーケットをオープンする予定(Androidマーケットのようなもの)
・ChromeOSとAndroidと、OSを分ける必要はあるのか?
 →ChromeOSでは、タッチパネルの機能がまだ開発されていないため、分けている。

Google ChromeブラウザをベースにしたChromeOSとAndroid。開発のスピードを優先して、PC用にはChromeOS、モバイルにはAndroidOSとしているようですが、今後一つに統一されるのでしょうか?


もう一つの記事は、「Googleは、Chrome OSを通して得た情報で何をたくらんでいるのか」というタイトルです。
http://www.technologyreview.com/computing/26936/?p1=A4
クラウドを採用するということは、いいかえれば、PCを利用するユーザの動きを、全てGoogleが把握できるということ。かなり貴重な個人情報になります。今までも、GmailやChromeブラウザを通して、ユーザの好みなどのデータを取得してきたGoogleですが、PC上の全ての情報となると、この価値は計り知れません。
広告収入が大きいGoogleにとっては、この情報の活用道は無限大であり、それが目的でクラウドPCを発売するのか?という声も聞かれます。

一方で、このように個人情報を利用することで、ユーザを不安にさせるのでは、政府の情報操作に使われるのでは、など、様々な懸念が提起されています。

この件については、Googleは、現在はプロトタイプテスト段階のため、利用ユーザのデータを詳細に集めているが、リリース後も集めるかはわからない、つまり現段階では未定、という回答のようです。また、ユーザの情報をどこまでクラウド側に残すかをユーザが設定できるようにすることで、個人情報に配慮することも考えている、とも回答していました。


Google検索やGmailがなくなったら生活が不便になるという人がかなりの数いるほど、Googleサービスの浸透率は高いですし、アメリカ政府は政府内システムとしてGoogleAppsの採用を決めるし、Androidはモバイル市場を席巻しているし、さらにGooglePCまで浸透したら、、、
世の中の情報全てがGoogleに集結する、なんて時代に向かうのでしょうか。

2011年1月7日金曜日

Groupon:グルーポン


明けましておめでとうございます。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。

さて、新年あけて、日本から飛び込んできたニュースといえば、グルーポンのおせち問題。
今のところ、グルーポン側よりも、おせちを作成した会社がやり玉にあげられていますね。


もしこれがアメリカだったら、、
全額返金+5000円程度の品では済まず、明らかに訴訟問題になっていたでしょう。
マックのコーヒーが熱かったぐらいで訴訟を起こし、被害者が勝訴してしまうような国ですから。
一年の始まりを台無しにされたから、自分のお給料額の◯%分の慰謝料を払え、などという話しも出てきそうです。

さて、このグルーポンという会社と、そのサービスについて、少し考察してみたいと思います。

まず、グルーポンという会社ですが、2008年にシカゴで創立された後、たった数年で世界10カ国以上に展開されるまでにいたった、急成長企業です。
創設者が少しおもしろくて、いわゆるITベンチャーにありがちな、コンピュータサイエンス出身ではなく、専攻は音楽。
会社の創立当初の思いとしては、「儲けること」よりも、「人々にもっと色んなサービスがあることを知ってもらいたい」という社会貢献的な気持ちから始めたサービスらしいです。
今でも、グルーポンの存在意義は、より多くのサービスを消費者に知ってもらうための「広告的意義」が大きい、と強調しています。


利用者からしてみれば、安く商品やサービスを購入できることが一番の目的です。
一方、企業側の目的は、きちんと定義されておらず、企業側に任されている感があり、これが、今回のようなグルーポン問題を引き起こす原因になっています。
考えられる目的別に、ちょっと考察してみましょう。


目的①:広告
グルーポンが提示している本来の目的である、広告を目的とした場合。
この場合は、問題が起こることはあまり考えられません。企業としては、宣伝広告費の一部として、本来より安く商品を提供して、消費者に使ってもらうことで、利用者を増やしていく。
サンプルを配ったり、モニターを募集したりといった手法と近く、企業側に「費用」という意識があることと、対象人数を最初から絞っているため費用の総額を事前に把握できるため、クーポン発行後に、会社側に急に不利益が生じることはないでしょう。


目的②:売り上げ増加
今回のおせち制作会社は、「売り上げ増加」を目的として、クーポンを販売したようです。
クーポン500個が完売した時の社長のつぶやき、「一店舗分の売り上げが稼げた!」。
これ、どう思いますか?
確かに、通常の販売方法であれば50ぐらいしか売れなかったところ、500売れたら、売価が半分だとしても約10倍の売り上げになります。
しかし、ここでは「コスト」の意識が全く欠如しています。
注文を受けてから材料の発注、人の配置を検討し始め、結局予定通りに販売すると大赤字になることがわかってきて、原価ぎりぎりのところでとりあえず販売。結局、全額返金+さらにコストがかかるという、イタイ事態を招いてしまいました。

そもそもこういった、一定の原価が確実に発生する商品をわざわざ値引きして売る、という形態が、グルーポンにあまり向いているとは言えないでしょう。
アメリカでのサービスを見ていても、原価がもともとないもの(マッサージなどのサービス)、売らないとどちらにしてもコストになるもの(ホテルの空き室)、または上記①の広告目的(お客さんが最近減っているレストランなど)が多く、確実な原価が発生するものをわざわざ値引きして売ることに意味を感じる企業はあまりいないようです。

あまりに初歩的な計算で、ここを見誤る人っているの?と思ってしまいますが、とにかく売り上げを上げて企業を成長させなくてはいけないとプレッシャーを感じている経営者にとっては、陥りやすい罠と言えるのではないでしょうか。


目的③:短期のキャッシュフロー改善
これが、一番まずいです。
グルーポンが問題になったのは今回のおせちが初めてではなく、去年の11月にも京都のある飲食店で問題になったことをご存知でしょうか。

この会社は、倒産危機にあえいでいました。来月の借入金の支払いも間に合うかわからない。
会社というのは、どんなに資産があっても、ある日のキャッシュがマイナスになったら倒産ですから、いかにして現金を調達するかは、死活問題です。

そこで、目をつけたのがグルーポン。
このサイトを通せば、沢山のクーポンを即日売ることができ、即日に消費者の決済が行われる。中小企業にとって、これだけうれしいことはありません。

そして、もくろみどおり、クーポンを発行。
一時的にキャッシュフローは改善し、数ヶ月は会社は存続するものの、根本的な経営の解決にはならず、結局倒産。
クーポン期限前の倒産で、クーポン未使用の利用者もいました。

この件については、グルーポン側はかなり真摯な対応を取り、クーポン未使用の購入者には全額返金をしたそうですが。。。


この件は、詐欺とも呼べる問題ではないでしょうか。今後、キャッシュフローの一時的改善のためにグルーポンを使う会社が増えるのはとても危険なことです。

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グルーポン創設者が「広告的意義」を強調するには、それなりのわけがありそうです。グルーポンの企業側のメリットは、一見、色々ありそうですが、②や③のように、結局は実体がない利益。


今後日本でグルーポンが根付いていくためには、グルーポンを利用する企業の審査(経営状態、グルーポン利用目的)は必要になってくるでしょうね。


補足ですが、グルーポンが日本に進出する際に買収したQpod、この会社が日本のグルーポンのサービスの実質を担っていると思われます。
もともと、2010年7月に設立され、サービス開始一ヶ月で日本のクーポン系の売り上げNo1になったというふれこみですが、、、からくりとしては、赤字覚悟でiTuneカードを80%OFFで1万人に販売したことが、大きな要因だとか。資本金1億円という資金力があったからできたことです。
そして、2010年8月には、Grouponに約10億円で買収されています。Groupon日本進出の時期を狙ったかのような起業。
1億の費用で10億を稼いだわけですから、ウハウハですよね。

でもこれって、クーポン販売のノウハウがある会社って言えるのでしょうか。
アイデアと技術力を売りに、地道に勝負するベンチャー企業が少し可哀想な気もしますが。


まあ、今後のサービス展開で真価が見えると思います。

※写真はHESS COLLECTIONというワイナリー