2010年12月18日土曜日

12月のひとりごと

さて、今年最後に、一つ会計ネタを。

SOX法が発足したきっかけのエンロン事件はあまりに有名ですが、アメリカではこのような会計事件は歴史的に数多く存在し、その度に会計制度の見直しが行われてきました。
数ある会計事件の中で私がおもしろいと思ったのは、1980年代、ハードディスクドライブを製造する会社、MiniScribeが起こした会計事件です。

http://en.wikipedia.org/wiki/MiniScribe

元々はかなりの売り上げを上げていたハードディスク製造会社ですが、1985年にIBMとの契約を打ち切られて以降資金繰りに苦しみ、1989年まで実に四年間、会計詐欺を行ってきた会社です。

その大胆な手法とは。

なんと、顧客から注文を受けた際に、ハードディスクのかわりにレンガをつめて大量に出荷していたのです。
1980年代のハードディスクは、レンガとほぼ同じサイズだったんですね。だからこそできた会計詐欺。
時代を感じさせます。

簡単に流れを書くと、以下のような感じです。

1. 顧客から注文を受け、レンガを出荷
2. 出荷記録を顧客に送ることで代金を回収
3. 代金回収ができた時点でレンガにリコールをかける
4. 回収した代金を使って、ハードディスクを出荷

こうして、キャッシュフローを改善していました。

いや〜さすがアメリカ、詐欺も大胆ですね。。

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一年間、ブログにお付き合いいただきありがとうございました。
まだまだ書きたいネタもあるのですが、年末ということで、今回はこのあたりで終わらせていただこうと思います。
来年、どうぞお楽しみに!

2010年12月14日火曜日

データセンターいろいろ

前のエントリーでご紹介した西村さんのお話からの抜粋+補足、データセンタに関する小ネタです。

・Microsoft
下記のビデオ、見た事ある方もいると思いますが、Microsoftのデータセンター建設の様子。
http://www.youtube.com/watch?v=PPnoKb9fTkA

こちらのデータセンターの場所ですが、わざわざデータセンターの住所をホームページで公開するメリットはないので公式には公にされておらず、「データセンターの場所は秘密なんだ!」と思いがち。
ところが、データセンタの所在地であるシアトルに住んでいる人からすると、秘密でも何でもなく「ああ、あの場所ね〜」というぐらいポピュラーな場所だとか^^;

・Apple
シリコンバレーで現在大きな話題と言えば、クラウドかモバイルと言えるでしょう。
Appleはモバイル分野ではGoogleとしのぎをけずっていますが、クラウド分野ではまだ影が薄いですよね。
乗り遅れている?
いえいえ、そんなことはなく、ノースカロライナ州に巨大データセンタを建設中というニュース、耳にしたことがあるかと思います。
年内オープン予定という噂もありましたが、やっとファシリティーが完成したというニュースを先日耳にしたばかりなので、本格稼動は来年からになりそうですね。
下記のビデオは、そんなベールに包まれたデータセンターを上空から撮影した映像。
http://www.youtube.com/watch?v=hDXSSi1qStA


激しい競争が繰り広げられているデータセンター分野ですが、今後より大事になってくる話題は、環境への配慮です。
ご存知、Google検索一回あたり、ポット一杯分のお湯を沸かせる熱量を発生させると言われています。
データセンタの冷却、またそれをどれだけ環境に負荷を与えずに行うか、今後大きな話題になってきます。
この分野について、現在のところ、一番進んでいると言われるのは、やはりGoogle。
以前の記事でも、Googleが使用しているBloom Boxという次世代エネルギーを紹介しましたので、まだ読んでない方は、併せてご覧ください。
http://faius.blogspot.com/2010/03/bloom-box.html

2010年12月13日月曜日

LBNLで働く西村弘志さんとのコラボレーション

LBNL(Lawrence Berkeley National Laboratory)という、UCバークレー大学に併設している研究所で研究者をしていらっしゃる西村弘志さんのお話を聞く機会がありましたので、ご紹介します。

http://als.lbl.gov/als_physics/website/apg/hnishimura.html
科学技術に使う計算機器の開発にずっと携わっている方なのですが、今回お話いたたいだテーマは「クラウドコンピューティング」。

新しい技術などが大学から多く発信されるアメリカですが、クラウドコンピューティングに限っては完全に産業主導(Googleが提起)であり、大学側の研究はそれを追いかける形になってしまっているそうです。
ですので、西村さんとしては、大学がもっとクラウドコンピューティング研究に積極的になり、発信を多くしていくべきと考えられているそうです。


以前のエントリーで産学連携のお話を紹介しましたが、UCバークレー本体とのコラボレーションは規則が厳しい上に最低投資金額が大きく、なかなか日本にいる企業にとってはハードルが高いと思います。また、当然英語でのコミュニケーションが前提となるため、語学のハードルもあり。
一方で、LBNLはUCバークレー本体のコラボレーションの規則に従う必要はなく、コラボレーション形態や金額については柔軟性がありますし、何より西村さんが日本人のため、英語の心配がないのは大きいポイントではないでしょうか^^;

各種コラボレーションは募集中とのことでしたので、産学連携に興味がある場合は、ご連絡を取ってみることをおすすめします。
こちらにいらした際に、直接お話を聞いてみるのもありだと思います。

今回西村さんのお話してくださった内容は「前提知識ゼロの方のためのクラウドコンピューティング講座」のような非常にわかりやすいお話でした。面白いネタの一つを、次以降のエントリーで少し紹介します。

2010年12月4日土曜日

Google Android


http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20101126/354590/
日本のKDDIから新しく発売されるAndroid端末、IS03。
KDDI始まって以来の予約数、、27万だそうですね。


今年、アメリカではAndroidが首位を獲得しましたが、この理由って何でしょう?
正直、Android機種を使っている人間からすると(私はHTC製のHEROを使用)、バグは多いし、iPhoneと比べるとまだまだユーザビリティは悪いです。
バッテリー寿命、キーボードの使いやすさ、安定性、音楽プレーヤーとしての機能など、ユーザ視点からは、まだまだ軍配はiPhoneに上がりそうです。


私の場合は、使っているキャリア(KDDI America)から出しているスマートフォンはアンドロイドしかなかったことと、物珍しさで買ってみましたが、企業携帯や個人での人気を見ると、やっぱりまだまだiPhoneが人気ですし、iPhoneからAndroidに乗り換えた!ってユーザにはまだ会ったことありません。


Androidが延びた最大の理由の一つは、iPhoneがAT&Tというキャリアだけに限定してしまっているのに対し、Androidは複数のキャリアから発売したことですよね。
今までスマートフォンを使いたかったけどAT&Tは嫌だなあというユーザ(料金設定が高い上に、エリアによってはつながりにくいなど、評判悪し)を取り込めたことは最大の要因の一つでしょう(私もその一人)。
※ただし、来年からは、iPhone複数キャリア解禁だそうです。http://blogs.itmedia.co.jp/saito/2010/08/iphone-d981.html


ここで、もう一つ、忘れてならないのは、Androidマーケットの特性です。


Javaの開発者である先生と、なんでAndroidってそんなにのびているのかね?という話しをしたとき、「ぶっちゃけ、ユーザ視点からはベストなモバイルじゃない。開発者視点での人気が大きいわよ。Googleの戦略勝ち。」とのこと。
なにしろ、Apple Storeに出すには2ヶ月かかったアプリ、Andoroidでは審査もなしに数日でアップ可能だそうで。
開発者にしてみれば、一日も早くマーケットにあげたいので、こんなに嬉しい環境はないですよね。(ユーザからしてみると、バグだらけで、たまに腹立たしくもなりますが。)


事実、Javaの授業のクラスメートの大多数が、もともとはiPhoneのアプリ開発をしていたが、最近会社の方針でAndroid用の開発もすることになって、Javaを学ぶことにした、という人達でした。
特に、サンフランシスコでは、公共サービス系(駐車料金の支払いなど)をモバイルで済ませられるように、様々なモバイルアプリを提供しており、AppStoreにあげていたアプリが突然消された日には市民へのサービスレベルが低下し苦情が殺到するという切実な問題があります。今後のアプリ開発では、必ずAndroidとセットで開発していくことにした、と、サンフランシスコ市役所勤務の人が言っていました。


さて、おもしろい事に、クラスメートの彼らがどのモバイルを使っているかアンケートをとると、iPhoneが圧倒的に多く、次に会社から支給されたという理由で、Blackberry。
Androidは私のみ。

アンドロイドに変えたい?と聞いたところ、一様にみんな「興味はあるけど、ユーザ視点から言ったらまだまだ安定してないから、ノー」。
でも、開発用として、会社で契約したアンドロイド端末は複数持っているそうです。


前の記事でも紹介しましたが、Googleが主催するカンファレンスに行けば、機種が無料で配布されるなどAndroid機種はほぼただでばらまきモード。→10月12日の記事を参照:http://faius.blogspot.com/2010/10/save-date-for-google-io-2011.html
Androidマーケットの敷居は低くして、開発者は増殖中。
Android人気は、ユーザ視点からの人気というより、Googleによってしかけられた人気でもあると言えるでしょう。


去年とのあまりのモバイル市場、アプリ開発市場の変化に、Googleって、とにかく、戦略をしかけるのがうまいなあと。
ユーザの要望からサービスを生むんじゃなくて、市場をうまく作っちゃうんですよね。
時代の流れを作っちゃうんですよね。
それが、世の中の人の生活にとっていいことなのか、それはおかまいなしなのです。
(Androidにバグが多いことを根に持っている私です^^;)


去年の10月,大手調査会社のガートナーが「2012年にはGoogleのモバイルOSであるAndroidがiPhoneを逆転する」という予測を発表した時は、iPhone一人勝ちの様子を呈していたモバイル関連業界の人達は多いに驚いたそうですが、それも今やはるか昔。
翌月のGoogleの決算発表においては、CEOのEric Schmidt氏が「Androidへの普及は爆発的大普及の直前だ」と宣言しましたが、まさに水面下で着々と進めてきた戦略が、今年になって本当に爆発したという感じですね。


GoogleTVの投入(今のところ人気はまだいまいちですが)、アメリカ政府専用のGoogle Appsの発表、Androidモバイルはアメリカで首位獲得。
なんだかもう、スケールの大きい、世界征服のような気がしてきます。。
全世界で、人材を大量募集中という流れもうなずけますね。


次はそろそろ、GooglePCかしら?GoogleTVの流れを見ると、SONYと提携するのかどうなのか。
一時期、2010年後半にGoogleNetBook発売のウワサもありましたが、NetBook自体の人気がいまいちなので、どうなることやら。


ま、そんなわけで、こちらでカンファレンスに参加する場合には、「Google」が参加企業に名を連ねているものへの参加をおすすめします。オラクルが参加していると、まずGoogleは参加していませんが(著作権の裁判は長期化しそうですので)。