2011年3月24日木曜日

3月のひとりごと


東日本大震災発生から2週間経ちました。

いまだに安否を確認できない方が多くいる事に、大変心が痛みます。
離れた地から思うように協力できないことがもどかしくありますが、アメリカに住む日本人としてできることをしていきたいと思っています。


アメリカで目立つ報道といえば、地震発生当初から、原発に関するニュース。


UCバークレーの放射能センサーが、微量の放射線を感知したという報道がありました。
私自身は、それに関して大騒ぎするアメリカ人に少し違和感を覚えています。


アメリカは歴史上唯一原子力爆弾を戦争に用いた国ですし、日本は唯一原子力爆弾を落とされた国です。
そのときの惨状、未だに残る心の傷、そういったものに関しては無関心でいながら、ものすごく繊細なセンサーが一日だけ反応した事で大騒ぎするというのは、やはり日本は、遠く離れた小さな島国の一つとしてしかとらえられていないということなのでしょうか。


また、今回の地震に対してのアメリカからの義援金の総額は、ハイチやチリの地震に対する額と比べると随分少ないみたいです。
理由は、日本人は裕福だから、自分たちで復興するだろう、とのこと。


個人レベルでみると、多くの友達が心配のメールをくれたり、お店や病院でも日本人とわかると励ましの言葉をもらったりして感謝する毎日であるので、報道に惑わされてはいけないとも思うのですが、複雑な心境になる毎日です。

それではまた来月。

BEARS 2011:モバイルの未来



BEARSカンファレンスのパネルディスカッションでは、モバイルの未来について、というテーマでディスカッションが行われました。

Overviewでも書きましたが、全体を通して概念的なお話に終始しましたが、いくつか大事なキーワードがありましたので、書いておこうと思います。

①モバイルにおける勝利のポイントは、若者世代をつかむこと
新しいものに飛びつくのは若者、若者世代に浸透した製品は強い。若者にしかわからない感覚がある。

実は、シリコンバレーで成功したIT企業の創業メンバーの中には、必ずと言っていいほど、創業時点で20代の若者が入っています。
Facebook、Google、Yahoo、Apple。。

これは、若者のトレンドは若者が一番良くわかっているということの表れです。

また、インターネットニュースの浸透、モバイルやタブレットの浸透によって、今後、紙媒体の新聞や本は消滅するか?という問いに対しては、「紙媒体に親しんできた世代がいる限りなくならない。逆に言えば、生まれた時から紙媒体よりもインターネットに親しんだ世代ばかりになれば消滅する可能性がある」と言われていて、若い世代に何を使わせていくかが大きなキーワードになっています。

②「必要性」を作りだす
今話題になっているモバイルやソーシャルネットワークサービスというのは、一見、生活に必須のものではないが、若いうちから使い続けると、いつの間にか、なくてはならない必需品になってしまう。
①の「若者」キーワードとかぶりますが、若い人間に飛びつかせて、生活の一部としてサービスを浸透させてしまう事が大事である。

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個人的には、これ以外にも「アプリ開発のオープンさ」という開発者視点を入れるべきだなあと思いましたが、GoogleもAppleもいないディスカッションでしたので、この点については触れられず。

iPhoneの爆発的な普及の背景には、iPhoneアプリの開発をオープンにしたことが挙げられるでしょう。
自分が学生の頃、一世を風靡したDocomoのiModeはいずこへ。。日本の携帯は早い段階で高機能アプリを実現していましたし、お財布ケータイなどいまだに特殊な機能を備えているにも関わらず、世界市場から置いてかれてしまった大きな原因の一つは、アプリ開発をオープンにしなかったことが原因と言えると思います。

また、近年Androidが伸びている大きな理由としては、iPhoneアプリよりも、「早く」「簡単」にアプリリリースできるという開発者側の理由があってこそ。

5月にGoogle主催のカンファレンスがありますので、そこではどんなお話がされるのか期待です。
残念ながらチケットは、発売数時間で完売!参加はできませんが、後日アップされる資料から拾おうと思います。
http://faius.blogspot.com/2010/10/save-date-for-google-io-2011.html
昨年はサプライズでAndroid無償配布があったそうですが、今年はどうなることやら。

2011年3月22日火曜日

iPad2


発売と同時に各店舗で売り切れ、現在ではインターネット注文は一ヶ月待ち、たまに店舗に入荷される時は前日の夜から行列ができるらしいです。

Apple storeだけでなく、Best Buyでも買えますが、いまのところ、全種類品切れのよう。インターネット注文もお店受け取りも在庫なしのようで。
http://www.bestbuy.com/site/iPad-Tablets/iPad/pcmcat209000050007.c?id=pcmcat209000050007#storeInventoryLink

3G対応じゃないiPad2ならTargetで買えるらしいですが、持ち運びできるのがうれしいタブレットなのに3Gなしって、ちょっと微妙ですね。でも、SF周辺は、wifi対応カフェが多いので、それなりに使い道もあるのかもしれませんが。


あと、オークションサイトのeBayではいくらか出回っているようです。
http://shop.ebay.com/items/ipad%202?_dmd=1&_sop=12&rvr_id=220359008372&MT_ID=69&crlp=6701486204_1&tt_encode=raw&geo_id=6312&keyword=ipad+2&adgroup_id=2080474124
が、これって本物でしょうかね。。。
$600ぐらいで売られてるのはあやしいし、$1200ぐらいのは本物かもしれませんが、そこまでして買うかと言われると?

ちなみに、店舗入荷時に前日から並んでいた人の8割が、中年の中国系女性だったという目撃情報もありますので、転売を目的にした買い占めなども横行してるのかもしれません。

Apple側が希少性を高めるために、販売数をおさえたり、ニュースにしたりしてるという背景ももちろんありますが。

2011年3月21日月曜日

BEARS 2011: E3S



BEARSカンファレンスで訪れた研究室の一つ、Center for Energy Efficient Electronics Scienceの紹介です。

https://www.e3s-center.org/

コンピュータサイエンス×環境問題は、近年ますますホットになっているテーマ。
クラウドコンピューティングにおける最大の関心事の一つは、環境に優しいデータセンタを建設・運営していくことにあると言っても過言ではありません。

データセンタの問題については、コンピュータサイエンスだけでなく、電子工学、建設工学等、様々な分野からのアプローチが必要となるので、UCバークレー単体の研究室としてではなく、様々な研究室や外部機関とのコラボレーションが特に活発なようです。

E3Sでも、スタンフォードやMITなどと共同研究を行っています。

当日の発表ではデータセンタそのものについての学生の発表はありませんでしたが、データセンタ関連のコネクションを探すなら、ここをあたってみるといいかも?

2011年3月20日日曜日

JTPA カンファレンス 2011:Overview

東日本大震災が起こってから毎日、NHKとTBSのUstream中継に釘付けでした。
これ以上被害が拡大しないことを願うばかりです。

各国の知り合いから心配や激励のメールをもらう度に、日本が多くの方に支えられていることを嬉しく思います。
こちらにいながら、自分にできることをしていこうと思う毎日です。

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先週末、サンノゼ州立大学で開催された「JTPAシリコンバレーカンファレンス」に行ってきました。
http://www.jtpa.org/event/svtour/000551.html

JTPAは、シリコンバレーで働く日本人、またこれからシリコンバレーで働く事を目指す日本人を支援する団体です。
出席者の半数ぐらいの方が、このカンファレンスのためにわざわざシリコンバレーを訪れており、気合いの入った方達が多く参加していました。
※東日本大震災の数日後ということで、飛行機が飛ばず参加できなくなった方もいらっしゃいましたが会場はほぼ満員でした。


午前中は、シリコンバレーで成功者と呼ばれる方による講演会です。

名古屋大学医学部で助手を務めた後、Stanford大学の客員研究員に転職、研究室で開発した技術をもとに教授がシステミックス社を設立する際に創設者グループのひとりとして参加し、システミックス社は後に売却。それを契機にセミリタイアし、現在はバイオメディカル・コンサルタントとして各方面で活躍中の金島 秀人さん。


三菱商事の情報産業グループでアジア各地のbusiness developmentを行われた後、米国パロアルト支店に異動し、投資を通じてベンチャー企業とアジアの大企業とを結ぶ業務を行い、年間数百億円のビジネス創出に貢献、三菱商事を退職後、シリコンバレーの著名起業家であるKamran Elahianらと4人でベンチャーキャピタル、Global Catalyst Partners(GCP)を設立し、現在Managing Principalとして投資業務を行っている大澤 弘治さん。


午後は、GoogleやAppleやtwitter等で働いている方のパネルディスカッション、ネットワーキングを目的としたテーブルごとの座談会など盛りだくさんで、あっという間の一日でした。


最近の若者は元気がないとか安定志向が強いなどと言われますが、これからアメリカの大学院留学→現地で就職、を夢見る多くの学生にも会えましたし、日本から離れたシリコンバレーの地で日本人として誇りを持って働いていらっしゃる沢山の方にお会いすることができ、多いに刺激を受けました。


今回のJTPAのイベント、基本はカンファレンス当日の参加のみですが、開催日が近くなるとFacebookのページが立ち上げられ、そのページを通して、様々な「おまけ」イベントへの参加が可能になります。

カンファレンス数日前には、希望者向けに、Oracle・Google・Apple・Twitter・Facebook・Nvidiaなどの現地IT企業、スタートアップ会社が集まるインキュベーター施設やVC、CyberAgentAmerica・DeNA・GREEなどシリコンバレーに進出している日本のネット企業、への見学ツアーが組まれ、カンファレンス参加者は自由に参加することができます(個別にグループを組んでの訪問なので定員は限られているので、常にFacebookページをチェックする必要あり)

カンファレンス次の日には、講演いただいた金島先生の自宅訪問(スタンフォードにある豪邸)ができたり、シリコンバレーの著名ブロガーである渡辺千賀さんとカフェでお話する時間があったりなどなど。


Facebookの便利さを痛感。


カンファレンス詳細については、BEARSの更新もまだ残っているため、4月に回させていただきます。

2011年3月8日火曜日

BEARS 2011: 産学連携と学生採用


さて、BEARSで会った他企業の方から聞いた、産学連携と学生採用の関係について書きます。

以前のエントリーで産学連携のしくみについて書きましたが、バークレーの産学連携にはいくつかのタイプがあります。

コンピュータサイエンスの研究室で最も多いタイプは「Gift」。

これは、donation(寄付)にあたり、企業と共同研究するわけでもなく、開発した技術を企業にライセンシングするわけでもなく、ただ単に企業が研究室の研究に援助金を出すしくみです。
最初このしくみを聞いた時に、「企業側のメリット」がよくわからず、なぜこれが一番多いタイプか疑問でした。


で、カンファレンスで会った、実際にdonationをしている企業の方に聞いてみました。
donationの目的って何ですか?と。

すると実は、「採用費」と考えている企業が多いようです。

donationをすることで、企業名を学生に知ってもらえ、興味を持ってもらえる可能性が高まる。
donationをすることで、研究室とのつながりが強化でき、学生に優先的にリクルーティングできる(採用情報を直接研究室内メールに流してもらえたりなど)。


コンピュータサイエンスの世界は、新しい技術がすごいスピードで次々と出て来るため、のんびりと共同研究やライセンス契約の検討をしている時間はありません。
※バイオや医療などの世界では、開発に時間がかかるのと、一度開発されると市場に長くとどまるため、こういった共同開発やライセンスも意味を持つみたいです。

それに、現在話題のCloud Computingは、研究の世界が主導ではなく、完全に企業主導。
消費者のニーズをすくいあげて、時には作り出して、スピード命で市場に出していくことが求められます。

となると、企業にとって一番欲しいのは、研究内容ではなく、「優秀な人材」。

バークレーのコンピュータサイエンスの研究室とのコネクションを強化し、企業をアピールして、優秀な学生に来てもらうことが、企業にとって最もメリットがある、と考えているようです。

donationは、比較的少額からできますので、採用関連で興味があればぜひ。。